乗算とオーバープリントは違うもの

……のはずですが、どうも「同じ扱いにする」とか「オーバープリントは使わず乗算使え」とかいう話が、ここ1~2年ばかりでちらほらと聞き及ぶことがあります。
まずは下記をよんで、違いを知ることは大事ではないかと思います。

乗算とオーバープリントを上手に分けて考えたいお話 【togetter】

ちなみにオーバープリントと乗算は、下記のような違いがあると解釈しています。自分なりに。

【オーバープリント】
印刷製版を目的としたもので、「印刷用インキが透明である」ことを前提に、異なる印刷版同士の色を掛け合わせることができる。ブラック100%(スミベタ)によく用いられるが、その目的は印刷時の僅かなズレなどによる地色(紙色)の隙間が出ないようにする(体裁上のおかしさを隠す)ことを目的とするもの。なお、同一版同士でオーバープリントを行った場合は、重なり上位の濃度のみが出力され、事実上無効になる。

【乗算】
グラフィック処理の効果を目的としたもので、異なる色同士を演算させて色の濃度を向上させることができる。ただし演算処理によるものであり、意図しない結果になる場合もある。印刷で行う場合、オーバープリントとは異なり、同一版同士でも演算されて濃度が上がる。

ということで別物のはずで、印刷(商業印刷系)の場合は使い分けが必要なはずです。



しかしながら……印刷系の制作マニュアルなどでも「オーバープリントは使うな、乗算使え」と書いてあるものがありまして……見つけたのが下記(といっても先ほどのtogetterにもコメント入れましたが)。

新聞広告デジタル制作ガイド【一般社団法人日本広告業協会】

……ある意味権威的とか指標的になるようなところがこれ書いたら駄目な気がする。



ただまあ、理由はわからなくもないんです。
単純に言えば「画面上で確実に目視確認ができ、どんなプリンタでも結果として確認できるのはどちらだ」というと、乗算だったりするわけで。
オーバープリントの場合、プレビュー設定を用いたり、出力対応しているプリンタを用いたり、PDFにしてから出力や確認したりしないといけないケースがあるので、それを避けるためにそうしている可能性があるのだろうか、と推測しています。断定ではないですが。

もっとも、それでもこの文書に書かれていることを単純に信じてしまうと、逆に結果がおかしくなり、例えば「小さなスミベタ文字も無用なかけあわせが生じ、むしろカスレや滲みにより可読性を低下させる」などのケースに繋がる可能性も出てくるわけで……その場合、果たして誰が責任を取るのだろうか、と思ったり思わなかったり。

ともあれ、「印刷における基本」を理解しないと危ないのには違いないだろうと思います。こういう場合は意識と知識が大事。

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コメント

新聞広告デジタル制作ガイド、ちょっとだけ見てみましたが、受ける側がきちんと処理できるか保証できないから作る側がフォローしてね、という考え方から出てくる発想なんじゃないですかね→墨ノセOP禁止
つまり「あるべき(新聞広告)データ作成の手順」を示そうというより「取りあえず今、自分たちがトラブルを被ること無く仕事をこなせるように誘導する」という趣旨なんじゃないかと。

少なくとも本来のガイド的な使用は前提にしてないのでしょう、PDFのタイトルに.inddなんてのが残ってるような感じですし。

それにしても…自分の環境では新聞広告作れないのか~^^;

InDesignで、塗りを乗算にしてから更にオブジェクトも乗算にすると更に色が濃くなるのにはびっくりしました。
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