『文字組みとレイアウト』で見る、4年での制作環境考察

実はそう大げさな話でもないんですが。
先日、『新・文字組みとレイアウト』を買いました。実は以前にコキ下ろした本の刷新版。

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冒頭の内容自体は変わってないので、そこだけ見るとある意味バッドサンプルなのは変わらないようなところなんですが、これではもうひとつ、普通に得るのが困難な情報が載っているので、それを見たくなった、という目的も含めて買ったわけです。

それはなんの目的かというと「制作環境」。

この本、各種メジャー系雑誌の組版基礎設計をアプリケーションの基本設定を提示するようになっているんですが、同時に制作環境についてもきちんと書かれてます。いやOSとかまでは出てないけど(どうせほとんどMacだろうよ)、アプリケーション名とそのバージョンが。いやサブバージョンまでは全部出てないけど(出ているものもある)。

で、どのようなバージョンが利用されている/されていたのかを知るには非常にまとまっている本である、という事実。なので、各アプリケーション+バージョンの掲示数を旧版・新版で以下カウントしてみました。物好きすぎるな自分。



■文字組みとレイアウト(2007年7月9日 初版発行)

 紹介雑誌の調査期間(発行時期)は2007年1~10月頃。

  • Quark 3.3:6
  • Quark 4.x:8
  • Illustrator 8.0:13
  • Illustrator 9.0:2
  • Illustrator 10.0:2
  • Illustrator CS(1):0
  • Illustrator CS2:4
  • InDesign 2.0:4
  • InDesign CS(1):7
  • InDesign CS2:16
 合計:62 ※紹介雑誌数:60、2種以上のアプリ利用:2



■新・文字組みとレイアウト(2011年2月2日 初版発行)

 紹介雑誌の調査期間(発行時期)は2010年11~2011年1月頃。

  • Illustrator 10.0:1
  • Illustrator CS(1):0
  • Illustrator CS2:2
  • Illustrator CS3:1
  • Illustrator CS4:1
  • InDesign 2.0:1
  • InDesign CS(1):0
  • InDesign CS2:16
  • InDesign CS3:27
  • InDesign CS4:15
  • その他:2
 合計:66 ※紹介雑誌数:61、2種以上のアプリ利用:5



同じ雑誌の定点観測しているわけじゃないのであくまでも傾向がみえるだけですが、通常公開されていない情報でもあるので、それだけでもありがたい。

2007年の頃のほうが雑多なアプリ・バージョンが利用されていて、OS環境も旧Mac OS系に属するものも少なくなかった。ただしこの頃からInDesignが利用される傾向があった。
そして2011年初時点ではAdobe CS2以降がほぼ全体を占めること、雑誌現場ではページレイアウトソフトであるInDesignがきちんと利用されていて幅をきかせていることがわかる、ということが読み取れます。

そういう意味では、メジャーな雑誌ではきちんとしたレイアウトソフトを用いられるようになりつつあり、しかしAdobeアプリの独断場になってきていて選択肢が実質存在しない、ある意味面白くなくなりつつある、という印象が。いやそれは個人的な感想ですけれども。



時事的な傾向は自分の仕事的にも見ておかなきゃいけないんだけれども、まあ、昔から推測していた方向になりつつあるなあ、と。良くも悪くも。ただ、このあと選択肢がない状態っていうのもあまりよろしくないわけで。事実上のAdobe一社独占になりつつあるのは正直どうなんだろうね、ということもいえるわけです。これも業界が望んでいる方向性なのかもしれないけれども、ねえ。Adobeのみに搾取されつづける、という選択肢のみという。

いずれにしても、この本、一定期間で出し続けてほしいところです。もっとも、冒頭の基礎解説だけは即座に全面差し替えして欲しいところだったりしますが。あれだけはなあ……。



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#ところで新版のほうの「その他」ですが、ひとつは写植(写研)でした。もうひとつは「S32」という記載。……これが何者かわからんです。それを使用している雑誌名は「BYCYCLE NAVI」なんですが。うーん。

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