中庸たる知識と、そして経験で判断しよう

先日、「組む。 - InDesignでつくる、美しい文字組版」を購入しました。
ついでに、「DTP Booster 012」にも行って生でセッションを楽しんでまいりました。遅刻したけど。



そこで思ったこと、考えたことなどを以下述べます。ただしいつものように愚痴に近いかもしれない。

一番思ったこととしては「ためになることもある。ただし、当たり前のこともあるし、そうでないこともある。かなり特殊なことも書かれている」というところ。玉石混淆。これは純粋な感想。



ひとついえることは「本来は、InDesignだけとして考えてはいけない」。

文字組版については、別にInDesignに頼らなくてもいい。他のソフトだってある。別にちまちまと手作業処理(紙の切り貼りなどを代表としたアナログ処理)をしたっていい。となると、「表現する道具に左右されない、純粋な知識および経験によって、判断および実ワークを行うべき」というのが本来のはず。道具に頼りきらず、振り回されきらないこと。ただし表現するための道具における表現処理方法(機能と制限)を知ることにより、より簡単・便利・柔軟に処理できるようになることは、みなが望むべきことだろうと。そして実際にそれができるものを知ることこそが「実現が不可能ではないかもしれない理想」になる。
やはり理想論かもしれない。けれども、その理想にできるだけ近づくとみんなハッピーだよね、というのもまた事実。

それと本書(およびセミナーのセッション)を当てはめた場合、「InDesignのTips本」としては参考になるところはあり、かつ、Tips本としては新たに知るべきところも多かったので、そういう意味では面白かったし、役立つと思います。ただ、それ以上でもそれ以下でもない、とも考えました。InDesignでつくる、と書かれているのでInDesignの本、というのはともかく、美しい、となるとちょっと別かなと思うところもひとつあったりします。

悪いところというと、柔軟に対応すべき、または制作物によって判断が変わるところなどをひとまとめにしてしまっているように捉えることができる点。それはちょっとまずい気がします。そのケース・バイ・ケースも、実際の作り手が判断するしかないところですけれども、それらも断言しているように読めるところが散見できてしまうため、そのネームバリューも手伝って鵜呑みにしてしまう人が出そうなところが怖さを感じます。

それらも含めて、判断できる知識、そして経験が一番大事だと思います。まあ、知識・経験もそれまで辿ってきた道によって変わってしまうので、とある人の発言が100%正しい、ということもいえない場合もありますけれども。もちろん自分も含めて。だからここで書いてることが正しいとは限らないよー、自分で正誤は判断するんだよー……ということを忘れてはいけない。依存はよろしくない。



もうひとつ、本書はそのものとしての後ろ向きな感想としては「これ、本当に“文字組版の本”たるデザインで考えているの?」というところ。

本書は、ミルキィ・イソベ氏も著者となっています。メインは紺野慎一氏だと思うけれども、コメントやブックデザイン等についての、実際の経験則や見た目全体または個々については、氏の意向が十分に反映されている、はず。
しかし、冒頭の「はじめに」の文章の書き方や組み方、そしてコメント部分の斜体の組み方、その他諸々……正直、「“文字組版の本”としての体裁や表現記述」としては個人的にはNGを出したい。たとえば、通常の音引きをふたつ以上並べる表現、いくらなんでも書かないまでも文章を扱ってきたプロとしてこれはないだろうと。時代によって表現も変わるのは承知していても、これらの表現については正直なところ、文字組みとしてのあり方を考えると、解せない。



最後に、わしが述べることではないかもしれないけれども、「引用元と謝辞について」の問題。

内容として何か参考にしているような箇所もあるように思われるのに、その参考元について記されていないように見える。その割に「Special Thanks」で個人名が書かれている。さて、この掲載された名前は何のためにあるの?

[book][dtp]とても残念なお知らせ。遠近法ノート

おそらく、記載された方々が提示されたような情報を何かしら参考にされたのだろう、とは思うんですが、どこの何を参考にして反映させたのかわからない。全般なら全般でもいいですが、少なくともこの奥付からは判断できない。引用はいいと思うんですけれども、そういう意味では何を引用したのか、参考にしたのかはできる限り明確にはしたいところ。それが引用。それは名前を載せた、という大きな意味にも繋がります。奥付はある意味神聖な場所でもあるので、そういう意味では、この掲載方法には確かに疑問を抱いてしまいます。

訂正の掲示だけではなく、結構大きな抱えこみがあるんじゃないだろうか、ということも脳裏によぎってしまいます。いろんな意味で。

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