それには全く同意できない

本日、NHKのニュースでインタビューを受けてた人が「学術書などは電子出版に向いてますね」といってた。

……逆だ、逆。残さなきゃならないものほど紙にしないでどうする。

「目の前の売れ行きのコト」だけ考えるなら別に電子出版でいいです。紙でなくて全然構わない。
ただ、その場合「将来的には一切残らなくてもいいような、どうでもいい低俗なもの」というレッテルを貼ってさしあげます。



少なくとも、保存性については現状では電子出版はどう逆立ちしても紙には敵いません。
紙を選ばなくとも、燃えたり解けたりしない限りは軽く数十年は持つ。破れても補修きくし。しかも紙を選んで保存方法もそれなりに気を遣えば、数百年はきちんと持つ。一部がなくなったとしても大半が読めれば問題がない場合もある。

しかし電子出版にはそれがない。あるわけがない。根本的なところでは「5年後にそのデータが確実に読める状態である」ということについても誰が保証するのだろうか。ハードウェアメーカーはむしろ保証してくれないぞ。特にプラットフォームをころころ変えるようなところは一番信用ならん。
また「データを誰が保持・保存し続けるのか」という問題もつきまとう。権利者が管理保持し続けられるという保証すらどこにもない。逆に購入者がずっと保持できる可能性も低い。後者がありえるとしたら「どれだけ縛りの少ないフォーマットを採用しているか」という点が重要。縛りのあるフォーマットならば特定方法以外での再生自体が困難な場合もあるからだ。



それらを前提にした場合、学術書や研究書、その他重要な情報たり得る内容について、電子出版として出したところで、将来誰が内容を確認することができるんだろうか、と。

現在、電子書籍について大あわてしてたり変なコメントしているような人は、少なくともそんなことは考えちゃいない、目の前のことしか追えない将来性のない人たちなんじゃないかなと思ったりして冷ややかな目で見てます。



#ちなみに電子出版そのものの否定はしません。ただ出てきたそれが本当に出版かどうかは疑問が残りまくるときがある。

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コメント

今更ですが、私と同意見の方がおられたので書き込んでおきます。

最近の電子出版だけでなく、会社のいろんなデータの電子化、つまりファイルでの保管にまで話を広げると、「保存期間の長さ」まで考えてる?、と疑問に思ってますよ

メディアの劣化は?
ファイル形式のサポートは?
はてはメディア装置がフロッピーのごとく消えてなくならないの?
外部のデータセンターに預けるって、そっちの保証はいつまで?

なんて考えはじめると、電子書籍も永久保存なんてありえはしないような気がしますよ。

けれど、学術書については反論があります。
というのも、論文って他人の論文を引用したり、先見性ということで自分のやってきた研究を他人が先に発表していないかの確認したり、とネット検索が外せない状態になっています。
しかしですね、インターネットとHTMLの起源をたどれば、米軍と研究の委託先を結ぶネットワークと、研究論文の共有フォーマットとして作られたものだったと記憶してます。
ということで、NHKでコメントした人は二重に外してますね。

そーすね

wikiで、いーすね。

それが認められないなら、そっちのほーが問題っしょ

内容によるのでは?
先端分野なら、電子出版よりwikiみたいなスタイルの方がいいでしょう。htmlベースなら当分先でも読めるでしょうし。
もうすでに固まっているような分野なら、保存性なら書籍の方がいいでしょう。閲覧声を考慮するなら、いっしょに電子出版にでもすればいいのでは?
そもそも、ここでの保存というのは、個人が所蔵することを指してるるわけではないでしょう。
図書館などの公的な機関が、後世に伝えるために保存することでしょ。そういう目的では、データでの保存はほとんどあてにならないのではないでしょうか?
それから、写真やら精密な図が主体のものはデータよりも印刷物の方が利便性が全然いいです。キンドルやらiPadで超高解像度の画像を表示しようったってまだ無理でしょ。それにそういうのはちっちゃく見ても意味がないですし。

ま、どっちにしろ、われわれが心配するまでもなく、最も用途に適した形式が選択されるんじゃないですかね。

あなたの方が逆では?

1紙のほうが保存性に優れる。
2学術書はすべて保存性が必要
の二点に関して。

>少なくとも、保存性については現状では電子出版はどう逆立ちしても紙には敵いません。

確かに、「5年後に読めることを保証する」というのは、とても大切な問題で、電子機器メーカーがこれまでにとってきた態度から、この点を疑いたくなるかもしれません。
しかし、5年前はいまのように電子書籍が今ほどの大きな規模で、現実味を持った話題になったことはなかったはずで、”現状”というのは、発展途上なわけです。
「継続的可読性の保証を行うシステムが、まだ確立されていない」というのは、今すぐ電子書籍に飛びつくのをためらう理由にはなっても、これからそれが確立され、電子書籍が確固たる地位を築くことはありえないと考える理由にはなりません。

また、紙の本でも残さなきゃいけない良書が、絶版になってること、よくありますよね。既に買った人は、保存できるかも知れませんが、新しく買うのが困難だというのは、ある意味で保存性にかけるという言い方もできると思います。これに関して電子書籍と紙の本のどちらがいいかは、維持管理にかかる出版社のコストが、どちらの方が低いかという問題になりますよね。

2点目に行くと、分野による違いはあるでしょうけれども、先端的な部分に関しては、学術書の方が、日進月歩というか、過渡的なものというか、その内容が洗練された形で受け継がれさえすれば、もとの本自体は消えてもいいようなところもあるとおもいます。あるいは、まだ確立されたとまではいえないけれども、とりあえず本にしてみようなどというケースもありえます。
こういった点では、仮に電子書籍の方が出版のイニシャルコストが安いとすれば、大きなメリットになりうるとおもいます。もちろん、あとになってやはりそれ自体を残すべきとなれば、改めて紙にして出版しなおすということも、可能かもしれません。

どちらにせよ、一般の本に比べて、比較的少数の人達が読むもので、多くの種類の本を出版する必要がある学術書は、出版の手間という観点から、それだけで電子書籍に向いているということは言えると思うんですが、どうでしょうか。
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