「文字―言語生活のなかの文字―/第1回研究会」を聴講してきました

すでにあかつきさんがレポートをあげてらっしゃいますが、文字研究会のワークショップ「文字―言語生活のなかの文字―/第1回研究会」を聴講してまいりました。

有意義であるとともにいろいろ考えさせられる内容でもありました。



……まあ、ちょっと遅刻したので趣旨説明を聞きそびれてしまったんですが。肝心なところなのに。

プログラムは以下。概要も示しましたが、わし視点で記載したものなので正確ではないかもしれません。



當山日出夫「言語生活の視点からの文字-景観文字研究の課題-」
 京都における、祇園の「祇」の字を用いている公共物を焦点にした、日常生活における文字の変遷調査の考察。

鑓水兼貴「「略字・俗字」使用における場面差・属性差」
 「傘」「点」「職」(×2)「第」「権/權」「協」「器」「曜」「関/關」の9字10種に対する略字・俗字(所謂「略書き」)の年代・性別調査の結果報告。

岡墻裕剛「『文字のしるべ』に見る明治期の外国人の漢字使用」
 バジル・ホール・チェンバレンの著した『文字のしるべ』調査における、初版・再版の差違やそこに記載された利用形跡(書き込みや落書きなど)からの当時利用された文字としての推察、およびロシア語版(海賊版)について。

杉山元康「『活字離れ』論の実態と、私たちの触れている『カツジ』」
 『活字離れ』といわれているものの実態、活版活字の復刻手段、電子出版それぞれの考察。

小形克宏「言語生活から見た絵文字のUnicode提案」
 Unicodeにおける絵文字(Emoji)の提案における変遷およびWG2東京会議までに再考察・提出された概要とその際に判明した問題点等。



テーマ自体が「言語生活」ということなので各人それに沿った内容ではあります。
が、全三者は手書きを含む一般利用を主体にしたもの、杉山さんは(一応)書物限定、小形さんはデジタル情報オンリーということで、かなり趣が異なる印象を受けました。

どちらかというと個人的に興味があったのは、鑓水さんのお話でした。
手書きを行う場合、急いでいる場合などには、たとえば「門」はその見た目通りではなく三画の略書きで書いたりします。年代によってそのように書く人が減少している、というお話でもあり、年配の人は「使って当たり前」と考えているフシがある点など。
これについては「受けた教育の背景事情」もあり、また「機械的に画一で印字された文字」(所謂「活字」に当たる)をどれだけ日常で触れているか、という点にも繋がるように思うわけです。昔はどれだけ重要な配布文書でも手書きが当たり前、今はワープロ・パソコン利用で出力される場合も少なくない。その違いも大きいだろうと。

それは當山先生の話にも繋がり(発表順は逆ですが)、「祇」の「しめすへん」は「ネ」と「示」どちらが多いか、といったときにはやはり時代背景や日常で多数目にするものを基準にしてしまうだろう、ということが言えそうなわけで。それはやはり、パソコンにおける表示される文字の影響も然り。

それでも、人はきちんと「同じ文字」として認識できている。たぶん、知識と経験によって訓練されることと、単語や文章としての脈絡を正しく繋げることで、だろう。
それでも、人は何故か「字の形にこだわる」ことがある。特に個人。どこまでこだわりを持つかは非常に難しく、これが漢字における文字のややこしさを生んでいる土壌になっているともいえる。

改めて文字のありかた、そして難しさを考えてしまった次第です。たぶん「こまけぇこたぁいいんだよ!!」と思った方が勝ちなんでしょう。絵文字のUnicode修正提案のお話を伺ったあとにもそう感じました。包摂を前提としているフシのあるUnicodeはそれが土壌の一部にもなってるんだろうなあ、とも考えてしまったので。



実は同じ考えを持っていたのが、杉山さんのお話。「活字を作る人がいなければ、技術でどうにかしてしまえばいいじゃん」ということで、3Dプロッタ(モデラとか)を利用した場合の技術的解決法をメーカー問い合わせおよびメーカーのシミュレーション結果を出してたんですが、見事に駄目だったという。……実は以前、同じことを考えておりまして、メーカーに問い合わせることもなく「無理だこれ」と結論づけていたという。ちなみに以前ネタにしたこのあたりにも通じる話もされてました。



ともあれ、非常に有意義な時間でした。……移動さえ問題なければ。

Googleトランジットでの移動時間が電車とたいして変わらなかったのと天気が良かったのでミニツーリングがてらでバイク移動したんですが、余裕持って出たにも関わらず、途中がおそろしく混んだという……立川には二度とバイクで行くまいと心に誓いましたとも、ええ。



ちなみに次は夏頃、改定常用漢字表についてのお話だそうです。こちらもぜひ時間作って行きたいところ……今度は時間の読みやすい電車で。



■2010.2.1追記:
築竹な日々」さんのほうでも報告がなされています。各内容の仔細について記されていますので、詳しく知りたい方はそちらもぜひ。

第4回ワークショップ: 文字(第1回文字研究会)発表傍聴記

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